「タイ×仏ランド産小鳩のロースト、青パパイヤ」。小鳩の胸はロースト、腿と手羽、内臓類はコンフィと、部位により調理法を変えている。レモングラスやこぶみかんの葉の香りのアメリケーヌソースはトムヤムクンを思わせる味わい。奥は前菜の「ギリシャ×ムサカの冷製再構築」。米茄子、秋茄子、水茄子の3種をそれぞれ異なる料理法で調理し、ミートソースやホワイトソース、トマトと合わせている。料理はすべて5800円のコースから

料理は月替わりのおまかせコースで

コロナ禍で、外食に出かけるのもためらわれる今日この頃。でも、たまの休日、時には羽を伸ばしたい。そんなウィークエンドのランチに訪れたいのがこの一軒。赤坂の外れにオープンして2年、隠れ家のようなフランス料理店だ。

「一皿にいろいろな味を重ね合わせていく料理が好きですね。それが、フレンチの面白さであり、醍醐味だと思うんです」。潑剌とした笑顔で語るのは、オーナーシェフの田中いずみさん。横浜や鎌倉の名店で8年間修業後、渡仏。一つ星レストランやパリのビストロで腕を磨いた強者だ。ここではフランス時代の経験を生かし、海と山の幸を組み合わせた個性豊かな料理を楽しませてくれる。

例えば写真の小鳩のロースト。ロゼ色に焼きあげた鳩に合わせたのは、従来のような鳩の肉汁ソースではなく甲殻類を用いたアメリケーヌソース、といった塩梅だ。

「中国×ジャスミン茶とグレープフルーツのシャルロット、ライチと桂花陳酒のソルベ、五香粉のクランブル」。8月のコースは異例で通常は正統派のフレンチを楽しめる

「旨みがより複雑になり、味に深みが出る」とは田中シェフ。シルクロードをテーマにした8月(取材時)のコースでは、この甲殻類のソースにタイの香草類を加味。エキゾチックな香りがコクのあるアメリケーヌソースを爽やかに仕上げている。コースは月替わり。季節には得意のジビエ料理も登場する。

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