手前がメインの「新派回鍋肉」。豚は、脂と肉のバランスの良い肩ロースを使い、付け合わせにキャベツやヤングコーンを添えて。ソースも従来よりあっさりめに仕上げた。奥は「おぼろ鱧の澄ましスープ仕立て」。鱧はすり身にして卵白と合わせ蒸しあげている。鶏と豚挽肉、干し貝柱、金華ハムでとる澄ましスープ(清湯)は、あっさりしたなかにも深みがある

日本の食材で季節を感じるモダンチャイニーズ

素材を慈しみ、人を慈しみ、料理を慈しむ――。そんな田村亮介オーナーシェフの思いをこめたネーミングの中国料理店がここ。「慈華」と書いて“いつか”と読む、モダンチャイニーズの新鋭だ。

田村シェフといえば、2019年4月まで東京・西麻布「麻布長江香福筵(コウフクエン)」で腕を奮った敏腕シェフ。ビルの改修工事のため閉店した後、12月に再スタートした。新店でのテーマは、日本の食材と中華の融合。曰く「この店では、調味料に妨げられることのない素材の味を生かした中華料理を表現したいと思っています」。

それだけに素材も厳選。ランチの回鍋肉(ホイコーロー)にしても、主役の豚肉には旨みの強い北海道・エルパソ豚牧場のどろぶたを使用。十勝の大地で育てられた放牧豚で脂の甘みも秀逸。その持ち味をダイレクトに伝えるべく、従来のような薄切りではなく塊でロースト。厚めにカットしている。回鍋肉のソースは添えてあるのみで、それにつけてどうぞ、というわけだ。

「猪餃子とジェットファームのアスパラ」。もっちりした皮も美味。ランチは、このほかに「前菜盛り合わせ」、締めの「麺」など全7品で6000円。テイクアウトでは麻婆豆腐など7種のおかずが入る中華弁当3000円が人気

また、日本の夏を代表する食材“鱧”を真薯(しんじょ)風にし、清湯(チンタン)と鱧の出汁を合わせたスープで仕立てた一皿も和中折衷の妙味。シックな空間の中、伝統料理をリスペクトしつつも新しい味を模索する“田村料理”を満喫したい。

※新型コロナウィルスの影響で、営業期間等は変更の可能性があります。最新の情報は、問い合わせ先にご確認ください