ランチのビーガン蕎麦コースは、生湯葉をのせた茶豆豆腐に始まり、蕎麦寿司や高野豆腐、がんもどきと続き、最後に野菜の天ぷらと蕎麦という内容で3080円。野菜は、れんこん、ズッキーニ、さつまいも、ししとう。いずれも無農薬野菜を使用。天ぷらの衣にも卵を入れず、水と粉のみ

 

鰹節不使用、「ビーガン蕎麦」の穏やかなうま味

あのミシュランガイドで8年連続一つ星に輝く蕎麦の名店「玉笑(たまわらい)」。その初めての姉妹店が、去年(2019年)の11月にオープン。話題の渋谷スクランブルスクエアの12階にひっそりと店を構える「半笑」がそれだ。

稀代の左官職人・挾土(はさど)秀平氏による、土壁や木目を生かしたトチノキのカウンターがシンプルモダンな趣を醸し出す店内は、建築家・隈研吾氏のデザインによるもの。

手前が茶豆豆腐と生湯葉。何もつけずとも甘みがあり美味。奥は枝豆入りのがんもどき。こちらも蕎麦のかけ汁と同じ精進のだしで煮含めている。そのほか、海老天おろし蕎麦が付く通常の天おろし蕎麦コース3080円もある

斬新な内装もさることながら、注目すべきは「ビーガン蕎麦」だ。ご主人の浦川雅弘さんは「『玉笑』には蕎麦=ビーガンと思って来る外国人客が多いんですが、だしには鰹節を使っているので、結局蕎麦が食べられない。そこで、精進の蕎麦をやってみたいと常々思っていた」のだとか。

新たに始めた精進だしは、昆布と干し椎茸をベースに野菜で甘みをつけた、滋味深く穏やかな味わい。こしのある蕎麦は「もり」もいいが、この精進だしの「かけ」も見逃せない。蕎麦粉は北海道や茨城、長野産の無農薬のものをブレンド。機械打ちながら、そこいらの手打ちには引けを取らない出来栄え。それも、蕎麦を捏(こ)ね、のすまでは人の手を通しているゆえだろう。舌と身体に優しい味だ。

 

※新型コロナウィルスの影響で、営業期間等は変更の可能性があります。最新の情報は、問い合わせ先にご確認ください