臨時のつもりが本職になった人も
最近、ミャンマーとの国境の町でお粥や豆乳を売っている若者たちと話す機会があった。彼らはタイ屈指のビーチリゾート、プーケットでガイドや運転手として働いたり、小さなホテルやレストランを経営したりしていたが、コロナの影響で観光客が激減。実家に戻ってきたものの仕事がないので、屋台を始めたそうだ。
また、バンコクのマーケットで洋服を売っていた女性はコロナで泣く泣く店を休業。家で作ったタイ風焼きそばを近隣住民に売ってみたところ人気が出て思わぬ収入になり、今ではそちらが本職になっている。
タイ北部チェンマイのある住宅地では、300以上の世帯がLINEでつながっていて、地域の連絡事項が届く。感染拡大防止のため外出を控えるよう推奨されると、「白玉のお菓子を作ります。購入希望の方は連絡ください」といったメッセージが続々と送られてくるようになったとか。
個人間のやり取りなので、「門にかけておいて」「家に取りに行くよ」など融通も利くし、「ちょっと味が濃かった」「量が少ないのでは?」などの感想も伝えられるので、作り手の腕も上がるという。
現在は飲食店も通常通りオープンしているが、“にわかシェフ”の活躍はまだまだ続きそうだ。(チェンマイ在住・岡本麻里)