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突然はじまった親の介護に、暮らしが一変してしまったという子ども世代も多い。
生活破綻を避けるための知恵を専門家に聞きました。(構成=古川美穂)
《 相談 》

状況を理解していないのに口ばかり出す妹と険悪に

認知症の父親が、都内で一人暮らし。近くに妹一家が住んでいますが、妹は何度説明しても父の病気を理解してくれません。父を強くしかりつけて不安がらせたかと思うと、ヘルパーさんが買い置きしてくれた食料を勝手に自分の家へ持ち帰ったり。

私は実家から飛行機を使う距離に住んでいますが、妹に任せられず月1度は帰るので、交通費がかさみます。帰省すれば父にご馳走するなど外食費もかかりますが、妹は一切自分のお金を出しません。

それなのに、将来的な施設の話になると、立派な有料老人ホームでなければダメだと言い張ります。現実を考えると、私は特養を想定しているのですが……。どうしたら妹と揉めずにすむのでしょう?(64歳・主婦)

●主たる介護者としてできることを

まず、無理をしてまで妹さんとうまくやろうと考える必要はありません。私もこれまでに介護をめぐる兄弟姉妹のトラブルをたくさん見てきました。

介護者が集まって交流できる「介護者カフェ」なども増えています。そうした場所で語り合って「自分だけではない」と感じるだけでも、少し気が楽になりませんか?

さて、状況をうかがうと、どうやら妹さんはまだお父様に精神的に依存しているようですね。父親が認知症になったことを頭では理解しているかもしれませんが、心の中では受け入れていない。つまり、まだ父親を甘えられる存在だと思っているのです。そのように依存している人に介護はできません。

ここは割り切り、あなたが主たる介護者としてできる範囲のことを淡々とするべきです。