変化していく自分を受け入れる
従姉は、50歳前後に起きる女性の体の変化においても、いわば先輩。「以前の自分と比べてはダメだよ」の一言に、目からウロコが落ちました。私も更年期に差しかかり、体調が悪くてイライラしていた。そこへコロナが加わり、余計に心が不安定になったのでしょう。
「しのぶちゃん、48年も身体を放ったらかしにしていたんだから、体調が悪いのは仕方ないよ。今、ここで気づけたのはラッキーだと思わないと。今までと同じペースで走り続けていたら、いずれ大きな病気をしたかもよ」とも言われました。
確かにここ数年、自分の仕事に加えて、歌舞伎の舞台に立つようになった息子をお稽古事に連れていくなどフル回転。常に睡眠不足で、食べる時間がもったいなくて食事を抜くことも。生まれつき丈夫なので、これまでは寝なくても食べなくても、いくらでも動けていたんです。だから体調が思わしくないと、「なんで!?」と、自分が許せなくなってしまう。
でも、だんだん変化していく自分を受け入れ、もう少し身体を大事にしないと、と思うようになりました。コロナはそのことに気づくきっかけになったのかもしれないと、発想を変えることにしたんです。
そういえば2年ほど前、夫に「しのぶは出会った頃、とても笑顔が美しかった。なんで最近、笑わなくなったんだ」と言われたことがあって。「あなたがイライラさせるからでしょう。私だって笑っていたいですよ」と言い返したいのを我慢し、「更年期だから」と答えたら、「なんでも更年期のせいにするな」と逆ギレされて、ますますムカッ!
ちょうどその頃、ドキュメンタリー番組で密着取材を受けていたのですが、その映像を観たら、確かにいつも眉根に縦皺が寄っていました。あぁ、私はこんな表情をしていたのかと、ちょっとショックでした。
息子に対しては、「ああしなさい、こうしなさい」と、常に口やかましいお母さんになっていました。なにせうるさく言わなきゃ宿題もしない子ですから。すると従姉が、「やらないで行って恥かかせればいいのよ。まだ2年生なんだから」。
忘れ物が多いとこぼすと、「しのぶちゃん、子どもの頃、忘れ物しなかったの?」。言われてみると、確かに私は忘れ物がひどかった(笑)。保護者への連絡のプリントを母に渡し忘れ、くちゃくちゃになって後から出てきたことも。人のこと、言えませんよね。
これからはもっと自分を楽にするために、何もかもひとりで抱え込まず、「こうでなくてはいけない」というこだわりを手放そう。徐々にそんな気持ちになりました。