ステイホームの間、2匹がいてくれたら
9月に入り、息子が平常通り学校に通うようになり、少しずつ生活のリズムが戻ってきました。お稽古事も再開されつつありますし、私もようやく仕事で外出する機会が増えてきました。すると気分が変わるんですね。今日もヘアメイクをしている時から、声をあげて笑っていました。
つい先日、髪の毛を切ったんです。ずっとサロンに行く気にもなれず、伸びるに任せていましたが、前髪をスパッと切ったら気持ちが新たに。本当は「ゼロから出発」という感じで丸刈りにしたいくらいの気分でしたが、さすがにそういうわけにはいかなくて。(笑)
11月には、西加奈子さんの小説が原作の映画『さくら』が公開されます(現在公開中)。さくらという名前の犬を飼っている家族の話で、私は3人きょうだいのお母さん役。「家族とは何か」というのは、永遠のテーマですよね。仲が良かった家族が、何かをきっかけに壊れていくこともある。この映画では明るい部分だけでなく、悲しい部分も描かれています。そのなかで、さくらは家族を繫ぐ象徴的な存在なんです。
共演者の皆さん、そしてさくら役の犬も、撮影現場では一致団結。この子は子犬の頃にいたずらされ、土に埋められていたところを保護されたのだそうです。現在の飼い主さんとは、とても固い信頼関係で結ばれていて。現場でも、この子がいるだけで癒やされました。
私も結婚前からずっと犬とともに暮らしてきましたが、犬は気配で家族の様子をすべてわかっています。私、ちょっと夫婦でもめると、2匹の飼い犬に言いつけて気持ちを落ち着けていたんですよ。でも、昨年1月、18年一緒に暮らした黒柴の姫ちゃんが亡くなり、今年1月には、フレンチブルドッグの捨助も亡くなりました。ステイホームの間、2匹がいてくれたらどんなに和んだか。我が家で私に従順なのは、もはや犬だけでしたから。(笑)
コロナに加えてペットロスの影響も少なくはありませんね。姫ちゃんも捨助も、ペットショップで売れ残って弱っているのを偶然見かけて、その場で飼うことを決めた子たちでした。今はまだ悲しみが癒えず、また犬を飼おうという気持ちにはなれないのですが、もしいい出会いがあれば新しい家族を迎える日がくるかもしれません(*)。
これからは、流れに逆らわず、暮らしのなかの幸せを数えることを習慣にしていきたいです。「何かやることがなければ、私はダメだ」という思い込みも捨てて、ただ生きているだけで平穏な気持ちでいられるよう、自分を整えておきたい。そうすれば少しずつ、よく笑う機嫌のよい私が戻ってきそう。最近ようやく、希望が見えてきた気がします。
*編集部注:先月、新しいファミリーを迎えることに決めた寺島さん。その経緯は、自身のブログで発信しています。