手前がメインの「FIP瞬〆鱸のたい焼き」。奥の3皿は前菜。左から「MSC帆立と岩海苔のクロケット」「ASC燻製銀鮭とカリフラワームース」「フォアグラのコンフィといちじく入りの“うさぎの最中”」。サステナブルシーフードの認証制度のなかでも信用度の高いMSC、ASC、BAP認証の魚のほか、持続性改善プログラム(FIP、AIP)に取り組む漁業者の魚を使用

サステナブルシーフードを多用、環境と身体に優しく

予約の取れない東京・北参道のフレンチ「シンシア」。このミシュラン一つ星レストランが、原宿に新店をオープンした。こちらはぐっとカジュアルなセカンドラインで、本店のテイストはそのままに、前菜はテーブルブッフェで、という新しいスタイルが人気を呼んでいる。このブッフェが週末はランチでもOK。常時14種類が揃う前菜は好きなだけどうぞというシステムだ。

「子どもの頃、テーブルにズラリと並ぶ料理を見てワクワクした思いを伝えたかったんです。でもこのご時世なのでオーダー形式にしました」。こう語るのは石井真介シェフ。

平日のランチメニューの一つ「ブイヤベースラーメン」1500円。サステナブルな魚のアラや甲殻類でとったスープが麺によく絡む。軽やかでいて深みのある味わいだ

さらに特筆すべきは、サステナブルシーフードを多用したレストランであること。サステナブルシーフードとは、水産資源の枯渇を食い止めるため、海の環境や生態系を保護し、魚を減らさないようルールを守りながら漁獲・養殖された水産物のこと。

また、アジ科のオアカムロのようにこれまでその価値が認められず、港で廃棄されていた未利用魚も積極的に活用。それらをフレンチの技法を用いて洗練された味わいの一皿に仕上げている。シンシア名物の《たい焼き》こと魚介のパイ包みに使う鱸すずきも同様だ。環境と身体に優しいフレンチを堪能したい。