「僕は男と女でいないなら、夫婦になる意味がないと思うな。それなら友達同士でいいじゃないって。」(米山さん)

男と女でいられないなら夫婦になる意味がない

室井 婚姻届を出したのは5月10日。私は最初は結婚しなくてもいいんじゃないかなと思ってた。だって名前が変わるといろいろ面倒なんだもん。でもコロナになって考えが変わったの。つまり私たちはコロナ婚だったんだよ。

米山 いろいろなタイミングがいい感じで重なったね。

室井 そう。まず息子が20歳になったら自分の恋を解禁しようと漠然と考えてた。それから19年の夏に乳がんを患って気弱になってた。さらにコロナが広がって、一人で生きていくのは嫌だなってはっきりと思ったの。

米山 僕はコロナの前に知り合えてよかったと思う。

室井 米ちゃんは初婚だけど、私が子持ちの再婚だってことは気にならなかったの?

米山 まったく。だって過去は過去でしかないから。それに人生100年時代なんだから、まだ50年も一緒にいられるじゃない。

室井 確かに、お互いの過去にこだわっていたら熟年結婚はできないかも。といって先のことを考えすぎないほうがいいみたい。将来、介護するのも嫌だし、されるのも嫌だ、みたいな現実的なことしか思い浮かばず二の足を踏んでしまいがちだもの。その点、私は刹那的。先のことはわからないけど、幸せだなって思える時間が確実にあるなら結婚したいと思ったの。

米山 この人だと思ったらモチベーションを失わないうちにスピーディに話を進めたほうがいいよね。それが熟年結婚をするコツだという気がする。

室井 私は、世間体を気にしないというのが大事なポイントかなと。世の中には「いい年をして恋愛だの結婚だのってキモい!」みたいなことを言う人もいるけど、「誰に何と言われてもいいんだ」という覚悟が必要だと思うの。

米山 年齢にかかわらず、恋愛って人から冷静に見たらキモいものだよね。それに人間の生活自体、一個一個詳細に見たら生々しくてキモいといえばキモいわけで。つまり人から見てキモいかどうかなんて考えてたら何もできない。

室井 それでいて、日本人って結婚するとすぐに父ちゃんと母ちゃんになっちゃうのよね。もしくは主人と家政婦。なんで男と女でいられないんだろう?

米山 僕は男と女でいないなら、夫婦になる意味がないと思うな。それなら友達同士でいいじゃないって。

室井 そう言ったっていろんな時期があるんだよ、きっと。私にとって米ちゃんは、夫であり、同志であり、親友であり、先生でありっていうのが理想的っていうか、仲良くできれば何でもいいの。

米山 それはそうだけどね。

室井 それに私、米ちゃんのこと最初から尊敬してた。だって高学歴だから。尊敬できるかできないか、私的には重要なポイントなんだけど、もしかして「そこかよ」って微妙な気持ちになっちゃう?

米山 別に。高学歴だからどうってことじゃなくて、学んだことを生かして社会に貢献できるかどうかが大事なところなんだけど。とはいえ、子ども時代から勉強してきて、自分は知識というか頭が売りってのは、それはそう思っているんだよ。だからそこを評価してもらえるのは、正直嬉しいよね。