本家玉壽軒「高砂饅頭」

底冷えする京都ならではの
発酵を生かした饅頭。
蒸したてふかふかの皮から
立ち上る麴の香り

麹甘酒の発酵を生かした饅頭で、この店の冬の名物菓子。創業当初から作られており、自家製の甘酒を用いた生地には一週間以上の時間をかけているのだそう。店頭で注文を受けてから蒸すので、二十分ほど待ち時間が必要になります。甘酒の複雑な香りと甘みを感じさせる皮、中には上品なこし餡が入っています。

もともと京都の大寺院へのお出入りが多いこの店、紫野にある大徳寺の開山忌でも、高砂饅頭がずっと使われてきたそうで、禅寺の大きな庫く裡りで滋味に満ちた白い饅頭が蒸されて湯気を立てている情景を思えば、さらに味わいも深くなります。

持ち帰ってから蒸し器でもう一度温めると美味しくいただけますが、「本当はお渡しして、すぐに召し上がっていただくのがいちばんなんです」と店主。たしかにその味は忘れがたく、家に帰るまでに胃袋におさめてしまう地元ファンも少なくないようです。
 

 

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