「もうすぐばあさんみたいなお母さん」

子どもの頃、わたしの地域の公立校はずっと給食だったので、お弁当を持っていく機会は、運動会くらいだった。教師だった母は、勤め先の学校の運動会とかぶるともちろん来られなかったが、何度か来てくれた記憶がある。母が来てくれると、嬉しかった、という記憶が残っている。

授業参観も、おばあちゃんが来てくれた。おばあちゃんは、おばあちゃんにはみえないくらい若かった。多分、当時50歳くらいだったのだと思うが、友達はおばあちゃんだとは思っておらず、母親だと思っていた。

「さやかちゃんのお母さんて、おばあちゃんみたい!」
「すごい老人!」

ひどい言われようである。

子どもだったわたしは、それが嫌で嫌で、おばあちゃんが学校に来るのを断固拒否した。それでも、おばあちゃんは参観があると必ず来て、控えめに他の保護者の後ろに隠れるのだった。だけど、子どもたちはおばあちゃんを見つけ

「また来た! もうすぐばあさんみたいなお母さん!」
「一番年寄り」

と騒ぎ立てるのだった。それを聞いているおばあちゃんは、ごめんねさやちゃん、とますます隠れるのだ。もう見ていられなかった。

だから、若く美しい母が、ともだちの前にくるのは、とても嬉しいことだった。たとえ、一生懸命毎日踊って覚えた春駒を褒めてくれなくても、リレーで負けて「いかんがね」と言われても、それでも嬉しかった。(その後母に激しく反抗し、大嫌いになるのは、また別の話)

参観日に来てくれた私のおばあちゃんと、娘