家庭をまったく顧みない夫に不満を募らせ続けてきた妻たち。子どもが独立して夫婦2人暮らしになった今、ふと「夫の突然死」を妄想することも──。3人目は夫婦ともに教員だという聡子さんのケースです。同業で理解し合える関係と思いきや?
私は《部活未亡人》
高校の教員、高橋聡子さん(55歳)は、自らを「部活未亡人」という。夫も高校の教員で、卓球部の顧問をしている。放課後はクラブ指導に余念がなく、受け持ったチームは強豪となっていくため、休みなく部活に明け暮れる。家にいるのは年に2~3日しかない。
3人の子どもに恵まれたが、夫は《部活命》。自分の生徒が大会に出場する時は、楽しそうに出かけていく。朝7時に出勤し、帰るのは早くて夜10時。インターハイがあれば、半年ほど準備につきっきりで激務になる。
聡子さんが先に眠って、朝起きるとベッドに夫がいない。あわてて夫に電話すると、「今、うちに向かっている」ということが何回かあった。
夫は「周りの先生だって皆、家を顧みてないよ」と平然としている。「《バリバリ部活夫》の妻で、私みたいにフルタイム勤務している人なんてほとんどいない」と思うと、頭に血が上った。聡子さんの実家が近いからこそ、親の手を借りて乗り切れたまでで、「完全な核家族だったら崩壊していただろう」と思っている。