「これは私が望んでいた50代なの?」

インタビューさせていただいた、私と同世代の(平成元年頃に就職した)「ヘイセイガンネンズ」の女性たちはCA、政治家の秘書、テレビ局や証券会社の社員など多種多彩で、全員が会社や仕事に“愛”を感じていた人たちでした。彼女たちの話を聞いて、いま50代の女性たちは男女雇用機会均等法の“呪い”にかかっていたのだと改めて感じましたね。
 

「バブル」著・山口ミルコ 光文社


86年に均等法が施行され、「男性と同じように働ける」「女性の生き方の選択肢が増えた」と刷り込まれた。結婚も出産も仕事もおしゃれも自己実現できるとけしかけられ、みんな真面目に信じて会社のために一所懸命に頑張った。でも、いま彼女たちは、「これは私が望んでいた50代なの?」と自問自答しているのです。

平成はあまりいい時代ではなかったのではないか、と執筆しながら思いました。成果主義の中で消費ばかり追いかけ、「人」を大切にしなくなった。バブル時代にまかれた「自己責任論」の種は大きく育ち、貧富の差も拡大しています。日本が大事なものをどんどん失っていった30年だったように思える、平成時代への私の検証はいまも続いています。

昔を振り返ると病気がちで、いつも神経をピリピリさせているような子どもでした。そんな私を救ってくれたのは漫画や本。だから私は本の力を信じているのです。希有なバブル体験を書いたことで、今後も自分にとって大事なことに向き合って、ものを書いていきたいと考えています。