話を聞くと、A君は小学校低学年の頃はさほど大きな問題もなく勉強や運動に取り組んできました。ところがA君が小学4年から母方祖父母と同居するようになり、それをきっかけに、A君一家の生活がガラッと変わったようなのです。

まず、家族の呼び名が変わりました。祖母が「おばあちゃんと呼ばれたくない」と言いだしたため、A君のお母さんの提案で、祖母を「お母さん」、母を「ママ」と呼ぶようになりました。A君がそう呼んだことをきっかけに、いつのまにか、祖父を「ボス」と呼ぶようになりました。

また、祖父母が父親のことを下の名前で「○○君」と呼ぶためA君も父のことを「○○君」とか「○○ピー」と呼ぶようになりました。これについて家族の中で疑問をもつ人はいませんでした。

この頃からA君はタガが外れたように自分勝手でわがままになっていきました。

 

祖父母と一緒にいれば、自分のわがままが通る

たとえば、もともとA君の家では1日にゲームは1時間半までというルールがありました。引っ越すまではそのルールを守ってきたA君でしたが、次第に、ゲームがしたいときには祖父の所で何時間もゲームをするようになります。ときには、朝までゲームをしたり、動画を見ることもあるといいます。

A君に甘い祖父母の登場で、それまで両親が決めていたルールが一つ一つ壊れ始めます。

欲しいものがあればすぐに買い与えられ、家族みんなでレストランに行ったときには、自分が注文した料理がおいしくないと言っては、別のものを注文しなおし、自分が食べなかった料理を父親に食べさせる始末です。祖父母と一緒にいれば、なにもかも自分のわがままが通るような状態になったのです。

ついにA君は、自分の家の中で、一番偉いのは祖父、そして2番目に偉いのは、祖父に溺愛されている自分。その次が祖母、母、その次が父親、というように順番付をするようになります。

祖父母と同居を始めてから、家族の機能や世代間境界が混乱し、年齢相応の我慢や努力、責任を果たさずに自分の幼児的な欲求を通すことばかりになってしまっていること、これが家庭内だけではなく学校においてもわがままで自分勝手な行動を繰り返しているA君の問題の背景にあることが理解されました。