子どもの精神科医療の現実は?

子どもの心の状態、そして複雑で多面的な心の発達はそんなに簡単に理解することはできません。このようなことを理解するには数分の診察や心理テストだけで判断することは到底因難です。子ども本人から、そして両親からも十分に話を聞くことが必要となります。

特に子どもの問題を理解するために、時には祖父母や学校の先生とのやりとりが必要な場合もあります。その上で、子どもが発達路線に戻る道筋を探っていかなければなりません。しかし日本では児童思春期精神科医療の教育は遅れており、専門医が少ないという問題があります。ですからまずは教育システムを作ることが求められていると思います。

また、残念ながら、時間も手間もかかる子どもの診察をしっかりやればやるほど、クリニックの経営は難しくなってしまうという医療制度上の問題があります。

専門医を選ばれるときには、症状や病名の説明をするだけではなく、子どもの本当の気持ちや行動の元となっている考えを親がより深く理解できるような質問や説明をする専門医を選ばれると良いと思います。