自宅から近いということもあって、それ以来、何かといえばその店に出向き、ラブリーなアイテムを次々と揃え始めた。きっと店員は孫へのプレゼントとでも思っているだろうが、メンバーズカードもしっかり作ってしまった。ティーンズファッションって、実は主婦にはありがたい。お手頃価格なうえに、ガンガン洗っても丈夫で耐久性がある。フリルやレースがついているのに動きやすい。そういう意味ではコスパ高めだと思う。

ある日、店のマネキンが着ていたチビTシャツを、ちょっと検討しようかと、買わずに帰宅。そのことを夫に話すと、なんと翌日、夫が気を利かせて、私に内緒で買いに行ってくれたのだ! だが、ツイていない男……。「今朝、売れてしまったんです」という店員のひと言で、夫のサプライズ計画は終了した。まあ、つまり、夫も私のファッションには賛同してくれているのだ。

テレビなどで年甲斐もなく、派手な恰好や若作りをしている中高年のオバサンを見るにつけ、よくもまああんな恥をさらせるものだ、とあきれていたこの私。いくらダイエットに成功したとはいえ、自分の歳を高い棚の上に上げ、今や極甘キュートファッションとは! 人間は、なんと身勝手な生き物なのだろう。

 

気分は上々だが、鏡に映る自分は直視できず

たとえば、ホルモンバランスがイマイチのどんよりした目覚めの朝だって、「そうだ、今日はアイツにするか!」と、ピンクの花柄がスイートなピッタリスキニーパンツに脚を通す。その瞬間、不思議とテンションがぐぐっと上がるのだ。

じゃあ、豆乳カフェオレでも作って飲みましょうか、という気分になる。くたびれた宅配便のおじさんにも、「ご苦労さまです」と笑顔を浮かべている自分がいる。夫に対してもそうだ。

会社から疲れて帰宅した夫を、ショートパンツに目の覚めるようなロイヤルブルーのタイツで迎えると、「いいね、買ったの? 服だけ見ていたらギャルだよね」「カモシカのような脚だよね、筋肉はないけど」「その色、顔が明るく見えるよ。くすみ対策にはいいよね」などなど、笑顔で、いつもひと言余計なお褒めの言葉をもらう。