そう悪くはないんじゃないの? こんな日常。だって私の場合、身内の善意に支えられているインドア仮装大会だから、人様には何ら迷惑をかけていない。それに、着るものでこんなにテンションが上がるなんてことは、更年期に入ってからなかったし。自分の姿にニンマリするなんて、何十年振りだろう。

思い返せば、唯一の救いだったぺ・ヨンジュンがテレビから去った後、私の心は荒れすさみ、「このまま枯れ萎んで死んでいくのみなのか?」とぼんやり考え始めていたのだから。あれから十数年、人間、どこにウキウキの種が落ちているかわからない。

しかし、ここで調子に乗り、ひとりファッションショー中に喜び勇んで、ついうっかり鏡を覗き込んだりしたらもう最悪……。シミ、シワ、たるみくすみにクッキリほうれい線などなど、そこには現実の自分が映っているのだから。たしかに可愛いんだ、「服」は! 若く透き通った張りのある肌の女子が着てこそ映えるのが、本来のティーンズファッションなのである。

結論。「鏡に映る自分は、ふんわりやんわり、だましだまし見ろ」。……コレがポイントです。それさえ守っていれば、けっこう楽しい勘違いワールドに浸れる。

最近行きつけの美容室で、つい口をついて出てしまう言葉がある。それは、「まあ、もうすぐ還暦ですからね」。私は歌のワンフレーズを口ずさむようにこの言葉を使っている自分に気づき、と同時に、「還暦」という逃げのワードに縋っている自分を発見した。だって、それを言えば必ず相手は、「見た目と実年齢が合いませんね」と驚いて、うまくもち上げてくれるのだから。

生まれて初めて体験する「老い」という悪魔を、私はまだまだうまく飼いならせずにいるんだろう、きっと。だからと言って、落ち込んでばかりいた以前の私とはもう違う。

そう、笑顔ならハッピーがやってくる。今日は天気がいいし、そよぐ風は爽やかで、ずらっと干した洗濯物は圧巻の眺め。おまけにチビ缶のビールは旨い。小さな幸せって、きっとこういうことなんだろう。さぁ、これからも、歳を忘れた私のガールズ嗜好はさらに昂まる予感である。


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