女学校教育が男性に対する知識を奪っている

しかし恋愛は避け難き熱病だ。こうした熱にでも浮かされなければ人は一生の配偶者を決めるという恐ろしい籤を引き得ぬのかも、知れない。もし恋愛という魔酔作用がなければ、人は一生涯を束縛する約束等を結び得ないのかもしれない。そんな意味で恋愛は避け難き凶事であると共に、必要なる凶事かもしれない。

ただ女性は平時でさえ男性に対する認識が滅茶である。彼女らはいかなる男性が信頼すべきかを、いかなる男性が信頼し得ざるかを、見分け得ない。まして精神的熱病に罹った時は、男性を判別する何らの能力もなくなってしまう。

そんな意味で、いかに男性の贋札を見分けるかという事は、処女の必修科目でなければならない。しかるに、今の女学校教育等がいかに女学生から男性に対する知識を奪っているか。男性に対してはほとんど目かくしにされているのだ。そして学校を出てから目かくしを外された所で、すぐ贋札の男性をつかまされて生涯を不幸にするのは当然だと思う。

恋愛は熱病である。その熱病に罹っても、理性を失い、感情を狂わすことがないように、平生から準備しておく事が、青年男女にとって何より必要だろう。殊に女性には。結婚生活が、彼女の生活の大部分である女性には。


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