悪循環におちいらないよう食生活を見直して
低栄養の状態が続くと心配されるのが、心身の機能が低下する「フレイル」です。
「栄養が足りないと筋肉量が減るため、疲れやすくなり、活動量も低下します。また、基礎代謝量が落ち、エネルギー消費量も減少。すると食欲が低下して食事の量が減り、さらに栄養が不足する、という悪循環に。こうした状態を『フレイルサイクル』と呼びます」
フレイルサイクルにはまってしまうと、サルコペニア(筋肉減少症)や骨粗しょう症、変形性膝関節症になりやすく、将来、寝たきりになる可能性が高まります。また、認知機能の低下やうつ状態を招くことも。
フレイルサイクルにおちいらないためには、定期的な運動や社会とのつながりを持つことを心がけるとともに、食事の内容を見直すことが重要と成田さんはアドバイスします。
「長年続けてきた食習慣を変えるのは、年齢を重ねるほど難しくなるもの。とはいえ、体調を崩してから食事の大切さに気づく人が多いのも事実です。健康なうちにご自身の食習慣を見直し、先々に備えましょう」
食事の栄養バランスを考えるのは大変と思うかもしれませんが、「実は簡単」と成田さん。次ページから食事のチェックポイントと栄養バランスの整え方を紹介します。
主食ゼロがフレイルを加速させる!?
近年の糖質に対する過剰ともいえる反応に、成田さんは警鐘を鳴らします。
「食形態の多様化に加え、糖質を控える風潮が高まっており、日本人の穀類摂取量は年々減少しています。たしかに糖質の過剰摂取は不健康な体重増加につながる恐れがありますが、主食をまったく摂らないのも問題です。ごはんやパンといった主食には、糖質以外に、たんぱく質などさまざまな栄養素が含まれています。主食を減らした分、そうした栄養素を主菜や副菜で摂らなければ、低栄養へとつながってしまう可能性が。1日3食でお茶碗1杯分程度の量の主食を摂るように心がけてください」