田丸弥「花供曽」

インパクトある名前の
甘いあられは
涅槃会にちなんだ
由緒あるみやこの銘菓

旧暦二月十五日は、お釈迦さまがお亡くなりになった涅槃会。修行ののち、菩提樹の下で悟りをひらかれたお釈迦さまは、仏の教えを広め、八十歳で、沙羅の林で眠るように入滅されました。

日本の各寺でも二月から三月に法要がありますが、左京区にある天台宗の寺、真如堂では新暦の三月十五日が涅槃会。そして三月中は参拝客にこの「花供曽(はなくそ)」を授与しています。一風変わった名前は、仏さまへの供物を意味する「花供御(はなくご)​」に由来するとのこと。

もともとは正月の鏡餅をあられにし黒砂糖を絡めた菓子で、今では涅槃会のために田丸弥が真如堂に納めています。お寺の了解を得て、店でも少し販売していましたが、訪れる人の要望に応え、一年を通して店頭に並ぶようになりました。

あられの香ばしさと黒糖の甘みが口に広がる優しい味が特徴。春の一日、仏さまにまつわる菓子でほっこりと一服するもまた良しです。