大学教員もニューノーマルに
齋藤 かつては教育現場においても、男性は「くん」、女性は「さん」を付けて呼ぶ習慣がありましたよね。でもいまは全員「さん」付けで統一する傾向にあります。私のいる明治大学の受講者名簿も、男女の別なくつくられていますね。
清水 しかも齋藤さんは、教員を養成する立場でもある、と。
齋藤 ハラスメントの講習会も年々バージョンアップして行われています。自分の発言が人を傷つけることがある、それによって社会的信用も失う――そのことを教員たちは常に意識していますね。
清水 大学の授業は、いまはほぼオンラインですか?
齋藤 はい。僕はもうすっかりハマっちゃって。オンライン最高!
清水 授業がしやすいんですか?
齋藤 まず、学生の出席率が圧倒的に高いんですよ。大学に行くのが面倒くさかった学生でも、起きれば出席できる。なおかつZoomは、教室以上にライブ状態の授業ができます。
為末 事前に録画しておいた授業を流したりはしないんですか?
齋藤 それだと学生も退屈しちゃうじゃないですか。僕の授業はほとんどのゼミ生が顔出し、音声ありで行っているので、ライブに近いんです。しかも自分が準備しておいたネタは、瞬時に全員と共有できるし、その発表に対して全員がチャットに感想を書き込める。
清水 これまでの授業より、スピード感がありそう。
齋藤 超絶相互作用(笑)。なかには、まだ地方の実家にいる学生もいるんです。あるとき小学生の妹さんが近くにいると聞いて、「これから大学生のお兄さんお姉さんたちがプレゼンやりますから、判定をしてもらえますか」って参加してもらったこともありました。
為末 齋藤さんが楽しんでいる様子が、いいですね。
齋藤 ただ、オンラインは顔出しが重要ですね。画面をオフにされちゃうと……、
為末 なにもついていないテレビ画面にしゃべりかけるみたいで、きついですよね。
齋藤 あれは、真っ暗な海に向かって話してるようなものですよ。とてもしゃべり続けられない。でもまあ強制はよくないので、画面は撮らない、とかルールを決めて、「できれば顔出ししてください」って学生たちにお願いしています。