自分のしていることがお役に立っているという喜びが大きい

「『子どもなんてそんなもんです。食べたくないときは無理に食べさせなくても大丈夫ですよ』と答えたんですけど、遠慮なく言い過ぎたかな、と後から反省(笑)。でも子育ては経験の積み重ねでもあるから、聞かれたことを答えるだけで安心してくださる。料理も最初は和風ばかりでしたが、スマホでレシピを見たりして、鯛のカルパッチョ、ラタトゥユなど洋風レパートリーも増やしました」

うまくやっていけそうと思えた矢先、コロナ禍で外出自粛が言われるようになった。

「私を家に入れていいか、悩まれたと思いますよ。『でも、週末はどうしても瑞恵ママの手料理を食べたい』と言ってくださって。それからは前日と当日、お互いに体温測定をして、体調に変化がないことを確認するメールを送り合うようになりました」

収入は月だいたい1万円ちょっと。それでも週1回の《おかあさん代行》の仕事によい刺激をもらえている。

「お金をいただくのもありがたいですけど、自分のしていることがお役に立っているという喜びが大きいんですよ。お友だちにも最近、いきいきしていると言われます」

この仕事を75歳までは続けたい。だから立ち仕事を支えるひざと腰の体操は欠かせない。今では、月曜から土曜まで近所の公園でラジオ体操に参加しているという。

 


《ルポ》ダイエットとやりがい 60歳を過ぎて出合った一石二鳥のお仕事
【1】会社員時代の実績で再就職を狙うも「年齢」で断られ続けたふみ子さん。63歳の今、時給1100円・実働5時間の「マンション管理人」として自分に合う部分を発見
【2】週1回、2時間半で料理8品作ってトイレ掃除をする「おかあさん代行」に携わる66歳・瑞穂さん。1万円ちょっとの収入でも「自分のしていることが役立つ」喜びが大きい
【3】公務員退職後にひらめいて、旅館で住み込みの仲居を始めた66歳の信世さん。心待ちにしてくれる人のために花を運び、自らもパワーをもらう72歳の佳代子さん