交流も張り合いに
関西地方に暮らす佳代子さん(72歳)の仕事は、毎週1回、40軒ほどの注文先に花を車で届けること。仏花用に数種の花をまとめた束もあれば、決まった額でよいものをというリクエストに合わせたブーケもある。
出勤日は朝8時に生花店の駐車場に行き、学校、病院、和菓子店、そして個人宅へと運ぶ花を積み込むところから始まる。市街地まで遠い独居の老人宅や店を空けられない商店などで、花の配達サービスは重宝されているのだろう。
「最初は届け先の場所を覚えるのに苦労しましたが、7年目の今は何も考えなくても、ハンドルを握る手が覚えています。住宅地から郊外、山あいの村落に向かいますが、大きな郊外の住宅地から刻々と変わる風景を見ながらのドライブも楽しいんですよね」という声が弾んでいる。
指定の場所に商品を置いてくることもあるが、自分の訪問を心待ちにしている人もいる。山あいの村のおばあちゃんは、時にとれたての白菜や大根を用意してくれることも。世間話をしたあと、帰りに持たせてくれるのだとか。そんな交流も張り合いになっている。