日本が好景気に沸いていたのは、今から数十年前のこと。暮らしも、自分自身もまさかこんなに変わってしまうなんて──(「読者体験手記」より)
毎週金曜日はアッシー君の車でディスコへ
私が就職した年はバブル真っ最中、学生が売り手市場の時代だった。入社試験を受けたのは第一志望の1社だけ。しかも、高卒の私でも給料はかなりよかった。今ではありえないけれど、入社数ヵ月後にはじめて手にした夏のボーナスが40万円以上あったのだ。
毎週金曜の夜になると、当時流行していたディスコに行くのがお決まりのコース。2つ年上の会社の先輩が短大時代から通っている地元のディスコが、行きつけだった。先輩は美人で顔も広かったので、いつも男の人に囲まれていた。そのなかのひとり、アッシー君がいつもディスコまで車で送ってくれる。
黒服と言われる男性からカクテルを受け取り、フロアで踊る人々を眺めていると、「アナタたちステキです」と外国人の男性が声をかけてくることもあった。ノリのいいユーロビートからジャズに曲が変わると、先輩は知らない男性とチークを踊り出す。
ひとしきり楽しんで、気がつくと朝6時くらいになっていた。その頃には、先輩がつかまえた男性が、私たちの分まで料金を支払ってくれている。