「安楽死で死にたい」と発信した理由
上野 今回、お会いしたかったのは、橋田さんが雑誌や本で「安楽死で死にたい」とお書きになったから。影響力がおありだから、反響も大きかったですね。
橋田 そんなに影響力ありますか?
上野 もちろんですよ。雑誌で何十人もの方がそのテーマで質問を受け、私もその一人でした。人間の生き死には個人のものだから、自分なりの死に方を選ぼうとする方もいる。でも、何も声高におっしゃらなくても。影響力のある方による「安楽死させてほしい」という発言は、社会的メッセージになりますから。
橋田 人に勧めるつもりはありませんでした。でも個人的には、90歳を超えたら安楽死を選択できるような法律がないかと夢想します。
上野 100歳を超して生きている方は、いっぱいおられますよ。
橋田 その方たち、楽しいと感じているのかしら。
上野 今回の『婦人公論』の老後特集に関して、私は「明るい」とか「楽しい」ではなく、「機嫌よく」という言葉を使ってほしいと注文をつけました。高齢になっても日日機嫌よく、ニコニコして生きておられる方も大勢います。
橋田 でも私はそんなにニコニコして生きたくないですもの。
上野 あら、そう(笑)。どうしてですか?
橋田 じっと座ってご飯を食べているだけで満足な方もいるかもしれませんが、私はその状態を楽しいと思えない。機嫌よく生きられないから、死んだほうがいいと思うんです。