「滅多に私、こういうこと言わないのですけど――鈴木さんは小説書くの、向いてると思います。」(三浦さん)

記憶に残る児童書「謎の味」

鈴木 ファンとして、三浦さんの読書歴もおうかがいしたいです。子どもの頃は、どんな本がお好きでしたか。

三浦 『長くつ下のピッピ』ですね。ピッピが床の上でクッキーの生地を伸ばすシーンが大好きで。でも、「ショウガ入りクッキー」と訳されていて、ジンジャークッキーを知らなかった私は、「紅ショウガ入りのクッキーがあるんだー」と思ってました。(笑)

鈴木 食べ物描写って、記憶に刻まれますよね。何の本か忘れてしまいましたが、主人公がまずいオートミールを食べるシーンが強烈に印象的で。20歳くらいの頃、仕事で泊まったホテルの朝食のメニューに見つけて「これか!」と頼んだ覚えがあります。食べてみて、やっぱり不思議な物でしたけれど。

三浦 オートミールは児童書で読んで「どんなものだか食べてみたい謎の料理」第1位ですよね。ご本のなかに『E.T.』を見たときハロウィンがなんだかわからなかったというお話もあって、確かにそうだったと懐かしくなりました。

鈴木 宅配ピザが届くけれど、私が映画を見た頃は日本ではまだそれほど普及してなくて。「何が段ボール箱で届いたんだろう」って。

三浦 知らない世界や異なる文化圏の情報を、インターネットで気軽に見られるようになったのも、ここ20年ほどのことですものね。それまでは「紅ショウガ入りクッキー」「段ボール箱で届く何か」と謎だらけ。それはそれで、面白かったのかなとは思いますが。