2021年5月25日号
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[特集]
私たちのノンフィクション
幸せは涙のあとに

生きていれば、つらい日も嬉しい日もある──。でも、経験したことはすべて、人生を豊かに彩ってくれるはずです。本誌恒例企画、読者の皆さまが自らの体験を綴り応募してくださったノンフィクション原稿のなかから、編集部が珠玉の6篇を選びました。いずれも厳しい現実にくじけることなく、前へ進もうとする力に満ちています

●注目記事●

〈不妊症に劣等感を抱いてきたけれど〉
特別養子縁組で娘を迎え、家族になりました
久保田智子

かつて、アナウンサーとして報道番組やバラエティ番組などで活躍した久保田智子さん。特別養子縁組制度を利用し、生後4日の女児を養子として迎えたことを2020年の12月に公表しました

生まれたばかりのハナちゃん(仮名)がわが家にやってきたのは、2019年1月28日のこと。現在2歳3ヵ月ですが、言葉の数が増えて、会話が成り立つようになってきました。

TBSの報道局に記者として半年ほど前に復職し、娘を保育園に預けながら週5日間勤務しています。忙しくも充実していて、幸せを感じる毎日です。

実は、彼女を迎えた当初は、手放しに「私がママだよ」と言うことができませんでした。どんなに懸命にミルクをあげ、おむつを替え、泣くのをあやしても、自分で産んでいないということが劣等感になり、「母親として振る舞っていいのか」と不安を感じました。そして、「私がこの子の親である必然性」を探していたのです。でも、ともに過ごす日々の積み重ねは大きいですね。そこから得られるものは想像をはるかに超えていて、いつのまにかそんなモヤモヤは解消していました。(一部抜粋)

他にも、珠玉のノンフィクション「カメラを向けても笑顔はない。認知症の妹との最後の旅」、「”紙切れ一枚”の差はどこに? 夫婦別姓の子育てを貫いて」、「365日無休で、借金返済に追われ、コンビニ経営はいばらの道よ」。読後感は、伊藤比呂美さんと内田樹さんです。
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[第二特集]
おたのしみ散歩のすすめ

せわしない日常の気分転換に。散歩を愛する人の歩き方は、自由気ままです。大事なのは、あまり期待しすぎず、ただぶらぶらと。そのほうがちょっとしたおまけを嬉しく思えるから。道すがらの風景も、いつもと違って見えてきます

●注目記事●

〈『孤独のグルメ』原作者のぶらぶら歩き〉
美味しいものに出会えたらラッキー、くらいの気楽さで
久住昌之

グルメのみならず、歩くことに関する著作も多い久住昌之さん。普段の散歩ではゴールにすることもあるという食堂で、とっておきのおたのしみについて聞きました

僕の自宅から吉祥寺の仕事場まで、歩くと30分くらいかかります。家を出る時は、「30分かぁ。バスに乗っちゃおうかな」と思うんだけど、乗らずに歩き始めたら、もう最後まで歩かないとしょうがないじゃない? すると学校の横で給食を作っている匂いがして「今日の献立は何だろう」なんて考えたり、洗車中のおじさんを見て、「こんな天気のいい日に車を洗うと気持ちいいだろうなあ」と想像したり。

それが、僕にとっての散歩です。つまり「これから散歩に行くぞ!」と決意して行くような、大げさなもんじゃない(笑)。あるいは「運動のために歩こう」というと、それはウォーキングになっちゃう。散歩ってもともと目的もなく、意味もなく、ただぶらぶら歩くから楽しい。二股の路地なら、どっちに進もうか。食堂に出会えば、美味しいかな? 美味しければラッキー、くらいの気楽さで。僕は橋がたくさんかかっている川も好きですね。どの橋で折り返そうかなって。いつも適当なんです。

人は目的を持つと頭がそこにいっちゃうから、自由に何かを発見したり感じたりすることができなくなる。スマホを見始めるとそうですね。(一部抜粋)

他にも、小林聡美さんのエッセイ「期待しないで歩いた先に」、散歩の達人たちのノウハウ「路傍の草や鉢植えから元気をもらう「路上園芸」鑑賞」「「市場めぐり」は掘り出し物、出会いの宝庫です」が掲載されています。
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[読みもの]

〈死ぬ気でやる覚悟を決めた〉
尾野真千子
デビューして24年。今も夢は「女優」です

15歳で映画主演デビューを果たし、30歳で朝ドラのヒロインに。その演技力は高く評価され、数々の賞を受賞している。大河ドラマ、映画と作品ごとに輝きを増す尾野真千子さんだが、コロナ禍で仕事をしばらく休もうと考えていたという。その気持ちを一転させたものとは──

実は私、昨年、コロナで死ぬのが怖くて、しばらく仕事から離れるつもりでした。まだやりたいことはあるし、得体のしれない病に負けて死にたくない、と思っていましたから。NHK大河ドラマ『麒麟がくる』に出演していましたが、撮影は中断されて、いつ再開できるかもわからない状態。「私は今ここで死ぬわけにはいかないので、仕事はしません」と言っていました。

そこへこの映画『茜色に焼かれる』の企画書が届いたのです。台本を読んでいくと、今撮らなきゃいけない作品だということがわかりました。撮影現場は“密”になるので、自粛が進む世の中の動きには反するかもしれないけれど、今撮って、伝えることに、この映画の意味があると考えた。「この時代」を後世に残すべきだ、と思ったわけです。

と同時に、この役をほかの女優さんの手には渡したくないなと思いました。だから生半可な気持ちではできないし、「この役は尾野真千子でよかったね」と言ってもらえる作品にしたかったのです。(一部抜粋)

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[グラビア]

〈素晴らしい出会いに刺激を受けて〉
宮沢氷魚
「ここにいるべき」と思える場所を見つけた

抜群のスタイルを生かしてモデルデビューした宮沢氷魚さん。その後、俳優活動をスタートし、ドラマ、映画、舞台へと活躍の場を広げている。コロナ禍による自粛中、心の支えにしていたものとは――

2017年にデビューして以来、ありがたいことにさまざまな役を演じさせていただきました。最初は芝居について何も知らないし、要求されたことになんとか応えるのに精いっぱい。自分が何をやっているのか実感がないまま、あっという間に時が過ぎていきました。

でも、作品ごとに自分に返ってくるものがあります。ひとつずつの積み重ねが自信につながり、「ここにいていいんだ」「ここにいるべきだ」と感じられるようになりました。

2020年春には、渡辺謙さんと共演の舞台『ピサロ』に出演。まだ役者としてさほど経験のない僕が謙さんと同じ舞台に立てるなんて、本当に恵まれていると感じました。

謙さん演じるピサロは、16世紀に寄せ集めの兵を率いてインカ帝国を征服した、成り上がりのスペインの将軍。僕が演じたのは、インカの王アタウアルパです。芝居中の謙さんは圧倒的に大きく見え、胸のあたりからパワーが飛んでくるのを感じました。けれど、太陽の子と称される王を演じるからには、負けるわけにはいきません。お互いのエネルギーが拮抗してこそ、アタウアルパとピサロの関係性が鮮明になる。

正直、とてつもないプレッシャーで……。稽古中、緊張すると身体が浮いて、気がつくと胸で呼吸していた。これでは弱々しい王になってしまう、地に足をつけなければと思い、稽古中盤からは足首におもりをつけて臨みました。(一部抜粋)


他にも、

〈関西ジャニーズJr.の〞リア恋〞男子〉
正門良規
珍しい名字のおかげでジャニーズに入れました!?(笑)

〈ステージレポート〉
滝沢歌舞伎で魅せる、美・技・心
Snow Man

〈緊急寄稿〉
「コロナはお前のせいだ」――
アメリカ全土に広がるアジア系市民への憎悪犯罪
渡邉葉

清水ミチコの三人寄れば無礼講
ゲスト水道橋博士&近田春夫

などなど、盛りだくさん。ぜひご一読ください!!

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