30年ほど前、清水ミチコさんがMCを務めていたバラエティ番組といえば『浅草橋ヤング洋品店』(浅ヤン)。番組で仲のよかった水道橋博士と近田春夫さんが、今回のゲストです。70代のいまも、変わらずロックンローラーな近田さんと、レジェンドを愛してやまない博士。ともに書くこと、聴くこと、表現することに貪欲な奇才同士です(撮影=大河内禎)
2週間前まで気づいてなかったこと
清水 あ、それは近田さんの『気分は歌謡曲』じゃない。
博士 これは初版本で、ほら見て。『浅ヤン』の初回収録時に、近田さんにサインしてもらったの。
近田 楽屋にきてくれたんだよね。
博士 で、こっちは約20年後に出た増補版なんだけど、まえがきに「楽屋で浅草キッドの水道橋博士君に『サインして下さい』と本を差し出された時は、こっちが彼等のファンだったからすごく感動してしまった」って書いてある。
清水 わあ。憧れの人からそんなふうに書いてもらえるなんて。
博士 でもこのまえがきに、俺はほんの2週間前まで気づいてなかったんですよ。近田さんにお会いするにあたって読み返して、「うわあっ!」ってなりました。
近田 ミッちゃんはさ、俺が紹介したピアノ屋さんでピアノを買ったことがあったよね。
清水 そうでした。懐かしい。
博士 え、なに? ふたりって、昔つき合ってたんですか。
近田 あははは。つき合ってるわけねえだろう。
清水 「ねえだろう」は私に失礼だよ(笑)。『浅ヤン』より前、私と近田さんはラジオ番組を一緒にやってたの。
近田 そしたらミッちゃんが「ピアノがほしい」って言ってね。もうなくなっちゃったけど、渋谷の宮益坂を上がったあたりにあったピアノ屋さんを紹介したんだよ。
清水 当時はアップライトだったからグランドピアノが買いたくて。
近田 いまも、家にピアノを置いてる?
清水 うん。私も偉くなったから、いまやスタインウェイ。
近田 すごいじゃん。