池の真ん中で溺れかけ

2回目に死にかけたのは高校2年生の夏休みで、家で昼寝をしていたら、小川君という級友がオートバイでやって来て「泳ぎに行かんか?」と言うので、ぼくも自分のオートバイに乗って小川君の家の近くにある大きな池に行き、パンツ1丁になって2人で飛び込んだのでした。

飛び込んで気付いたことは、自分は泳ぎがほとんど出来ないということでした。なかなか前に進まない犬かき泳法で、向こう岸に向かって泳いでいたら、小川君はスイスイ泳いで、向こう岸に着くところが見えました。水深が一番深い池の真ん中辺りまで来ると、いくら手足を動かしても前に進めなくなりました。手足をバタバタしていると体が沈んで行き、水を飲んで息ができなくなり苦しくなってもがいていました。「これが溺れるということなんだな、もうじき死ぬんだな、小川君に恥ずかしいな」と思ったような気がします。

小川君は向こう岸に着いていたので、ぼくが溺れていることに気が付いて、助けに来てくれました。小川君は横泳ぎのような泳ぎ方で、ぼくの手を引っ張って岸まで連れて行ってくれました。あの時、小川君が来るのがもう少し遅かったら死んでいたと思います。小川君は命の恩人です。

反省点は、昼寝をしていて半分寝呆けたような状態だったこと、準備体操もしないで池に飛び込んだこと、小川で少し泳いだことがあるので、自分は泳げると思い込んでいたこと、小川君に負けまいとしてがむしゃらに泳いで、途中で息切れしたこと……ぐらいですかね。溺れるとものすごく苦しいことが良くわかりました。そこを通り越して楽になると多分死ぬのだと思います。以来、海に行っても泳いだことはありません。