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世界一多忙な日本の教員

しかし現実を見れば、あまりにも忙しくなった個々の先生からすれば、未来の学校の姿など、考える余裕も無いのかもしれません。

以前より、学校においてはあらゆる管理が厳しくなっています。特に2002年からは、文部科学省が学校設置基準において学校評価を求めるようになり、学校でもPDCAサイクルの確立が強く求められるようになりました。

OECD加盟国など48カ国・地域が参加(初等教育は15カ国・地域が参加)し、日本では小学校約200校及び中学校約200校の校長が参加した「OECD国際教員指導環境調査」(2018年度)によると、参加国・地域の中学教師の平均勤務時間が38・3時間/週であるのに対し、日本の教員の労働時間は56時間/週にまで達し、これは参加国中で最長となっています。

それだけ多忙になっているにもかかわらず、学習進度は守らなければならないので、学習につまずきのある子どもなどへの個別対応が難しく、また同時に、個々のペースを容認しにくくなっていることが考えられます。

逆に、学習進度が早いような子どもたちも、現在の法律で飛び級が認められていないことから、一斉指導の中で授業の妨げと認識され、結果として排除されている可能性もあるでしょう。

ともあれ、こうして学校が置かれた状況を少し鑑みただけでも、それが“壁”とならないための施策が今急いで求められているよう、筆者には感じられてならないのです。


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