4年もの間、裏切られていたショックは大きい。私はスマホのメールや手帳を証拠として並べ、病気になったのもあなたのせいだと、夫を責めた。観念してすべてを認めた彼が言うには、いつも誘いはY子のほうからで、電車や宿の手配もすべて女がやっていたのだそうだ。

Y子という女は、よその亭主と遊ぶことにずいぶん慣れていたようである。不倫も初めてではなかったのかもしれない。うぶな夫はY子の手練手管にまんまと引っかかってしまったのだ。

謝られてもなかなか私の感情はおさまらず、話しているうちに昂ぶって、夫のことを叩いてしまう。彼は抵抗することなく、ひたすら「ごめん」と言いながら私をなだめて、「お前とやり直したい」と言ってくれた。正直に思ったことをお互いぶつけあうと、あらためて大切な人だと確認できた。

とはいえ、すべてがうまくいっているわけではない。夫を許したつもりでも、どうしようもなく苛立つときがある。でも、いろいろな思いを呑み込んで二人でやっていくしかないのだ。そう決めたから。

風の噂によれば、女は一家で別の町に引っ越したらしい。許せない女ではあるが、夫との絆が深まったのは、不本意ながらあの女のおかげだったのだろう。


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