「察してほしい」は自分が怒りを抱える結果に
日本人には「察する」ことを美徳と感じる傾向があります。悪いことではありませんが、言いにくいことを伝えなければならないときは、「察してもらう」はまったく使えません。
伝えにくいからと、目の前に「男のニオイ特集」の雑誌をさりげなく置く、シャンプーを消臭効果のあるものに変えても口頭で伝えない、洗濯をこまめにしていることを言わない、など。どれもまず伝わりません。
私のところへ相談にみえる方がパートナーへの不満を語るとき、「それを伝えていますか?」と尋ねると、「言わなくてもさすがにわかると思います」とおっしゃることが少なくありません。そして「私はこんなに我慢しているのに」と怒りを抱えています。これが大きな間違い。言葉にして言わないと、相手には伝わらないのです。LINEやメールで伝えるのもNG。文字で伝えると、受け手が自分に都合のいいように解釈してしまいますから。
また、伝えるタイミングも重要です。人間の心理として、言いにくいことは別れ際などに言おうとします。言った後に気まずくなったまま、一緒にいるのを避けたいからです。だからといって夫の出掛けに言うのは最悪。これは言う側の逃げです。事実をシンプルに丁寧に伝えるだけですから、あまり構えず、夕飯のときなどに話すのがいいでしょう。
そして、相手に少しでも変化が見られたら褒めること。こちらの要求、つまりアイメッセージでのお願いをのんでくれたわけですから、嬉しいという気持ちや「変化に気づいているよ」ということも伝えましょう。これも、自分の気持ちを口に出して伝える練習になります。
ニオイはデリケートな問題なので、言いにくいことは確かです。しかし、だからこそ他人は指摘できません。身内が外で恥をかくくらいなら、家族が言ってあげるほうが親切だと思いませんか。「指摘をすることは悪」という刷り込みがあるなら、それは間違っているのです。