『孤独のアンサンブル』村松秀・著 中央公論新社

「自分たちの存在は必要なはずだ」

放映後、多くの視聴者から反響が寄せられ、SNSでも大きな話題となりました。番組をもっとたしかな形で残したいなと考えていたところ、ご縁があって本を書くことができたのです。

コロナの感染拡大と番組制作の過程を時系列で追いつつ、演奏家たちの揺れ動く心の葛藤を描きたい一心で書き上げました。彼らの奏でた音楽には、「自分たちの存在は必要なはずだ」という希求のような響きがあります。それは、コロナ禍に同じ問いと直面した市民にも、生きる力を与えてくれるものだと思います。

ドイツのメルケル首相は、コロナ流行の早い段階で、「文化を大切にする」と宣言しました。いっぽう日本では、まだまだ文化・芸術分野に対する支援が手薄ですよね。いったん文化が途絶えると、復活させることは大変難しい。僕自身、音楽やアート、科学なども含め、「体感」が新たな気づきを生み出す大切さを発信し続けたいと思います。