小林 私たちが40〜50代の頃って、更年期について、今ほど知られていない時代でしたからね。
村崎 贅沢病とか怠け病なんて言われていてね。でも、いざ自分の不調が更年期だと理解したとき、今まで不調を訴えていた患者さんたちに本当に申し訳ないことをしたと深く反省しました。そんな贖罪の思いもあって更年期専門外来を開設したら、高血圧や高脂血症も併せて診ることになり、閉院することがなかなか難しくなってしまいました。
「この人が86歳!?」と、驚かれなきゃいけない仕事
小林 私も、この大きな手は、美容の仕事をするべきよ、と神様から授かったのだと思っています。だからいくつになっても、この手を休ませちゃいけないと。
村崎 照子さんは、背筋がピシッと伸びて、とても80代には見えませんよ。
小林 姿勢って大事。特に私の場合、「この人が86歳!?」と、驚かれなきゃいけない仕事ですから。人前に出るので、丁寧に顔を洗い、髪もきちんと整えて。その緊張感がハリになっているんでしょうね。とはいえ、毎朝鏡を見るたびに「衰えた」とは感じますよ。
村崎 そうね、私も人に会う仕事だからしょぼくれているわけにはいかない。そうは言っても、60代から70代、70代から80代という節目節目で体力の衰えは感じてきましたね。
60代のとき、患者さんたちに向けて、「いまだかつて見たことのない100歳を目指そう!」というスローガンを掲げたことがあったのですが、いざ自分が80代になってみたら、100歳で3cmヒールの靴を履くのは危険じゃないかと、最近少し弱気になりました。
小林 私もたまの休日に、ベッドの上でテレビを観ながらゴロゴロして1日を過ごしていると、立ち上がろうとしたときに、「あれ?」と、うまく足が動かないことがあって。この生活を3日続けたら、きっと動けなくなるような気がするんです。