たった1週間でフレイルに

村崎 わかるわ。昨年の夏休み、コロナと猛暑で1週間家で完全自粛していたら、私、フレイル(加齢によって心身の機能が衰えた状態)になっちゃったの。休み明けに外に出たら、脚の筋肉が衰えて満足に歩けない。ショックでしたよ。そこからガクッと年をとったような気がします。その半年前には、息子一家とハードなエジプト旅行をしていたのに。

小林 たった1週間で? 怖いですね。

村崎 本当に恐ろしいのよ。疲れた、体力的につらいと思ったって、休んでばかりいちゃいけない。更年期を過ぎて体力が衰えてきたと感じたら、とにかく筋肉、骨を鍛えておかないと。

小林 実は私、まったく運動をしていないんですよ。歩くのも苦手で、「今日は歩こう」とスニーカーを履いても、すぐに手を挙げてタクシーを停めちゃう。

村崎 照子さんの場合、それでこんなに元気だから羨ましい。

小林 おかげさまで、更年期の症状もめまいで苦しんだくらいでした。先生と出会ったとき、「そろそろサプリメントを飲むお年頃よ」と言われて、骨粗しょう症を防ぐサプリの3点セットを半年ほど飲んでいましたけど。

村崎 生まれ持った体質にも助けられているのでしょうね。でも、歩くのは健康にいいですよ。私、68歳のときに思いがけなくうつになってしまったの。そのとき、「薬ではなく歩いてセロトニンを増やそう」と決意して、樋口一葉の日記を読みながら、彼女が歩いたのと同じ日に同じ道筋を歩くことにしたんです。

小林 樋口一葉の小説がお好きだったんですか?

村崎 小説はそうでもないけど(笑)、日記のほうは面白い。病弱だと思っていた一葉が意外にも健脚で。庶民は歩くしかなかったしね。毎週土日は一葉が住んでいた本郷・菊坂詣で。そこから、龍泉寺、吉原など、日記に書かれていた通りの道筋を歩いたの。

一葉の生活圏はだいたい1万数千歩内にありました。最初はスニーカーにパンツだったけど、そのうち一葉と同じように下駄を履き、巻きスカートに替えて。下駄がペタンコになる頃には、うつも治っていましたね。