健康寿命が延び、見た目も若くなる!?

ここまでの話でお気づきでしょうが、あなたの最近の不調は毛細血管の衰えのサインかもしれません。放っておくと症状が静かに進行し、重篤な病気につながる危険性も。だからこそ早めに食い止めることが大事。

ありがたいことに、毛細血管は何歳になっても増やすことができます。血管新生といって、ダメージを受けても修復し、枝分かれするように新たな毛細血管が育ち、定着していくのです。

同じ年齢であっても、毛細血管の量には個人差があり、多い人は見た目も若々しく、病気のリスクも低い。加齢による減少を最小限に食い止め、健康な毛細血管を増やすことはアンチエイジングにもつながり、健康寿命を延ばす近道といえます。

では、どうすれば毛細血管を増やすことができるのでしょう。3つのポイントがあります。

一つ目は血流を増やすこと。毛細血管自身も血液で養われています。毛細血管に血液がしっかり流れることで、細胞同士がきちんとくっついて、血管もきれいに保たれるのです。

二つ目は、血管を緩めること。毛細血管は自律神経の指令によって収縮と拡張を切り替えています。自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、一般的に年齢を重ねると副交感神経の働きが落ち、交感神経が優位になりすぎる傾向が。交感神経が優位になると、毛細血管の入り口にある筋肉がキュッと収縮して毛細血管の血流が抑えられてしまいます。逆に、副交感神経が優位になると毛細血管の筋肉が緩み、末梢まで血が巡ります。ですから、毛細血管にしっかり血液が流れるようにするためには、意識的に副交感神経が優位な状態を作ることが大事なのです。

三つ目は、血管を緩める時間を長く保つために、質のいい睡眠をしっかりとること。睡眠中は、副交感神経優位の時間をまとまってとることができます。

多くの患者さんを診てきた私の経験から言って、中高年の病気は、遺伝病以外のほとんどが生活習慣によって引き起こされます。ここに挙げた3つのポイントを意識しながら生活改善に取り組めば、毛細血管を若返らせ、増やすことができます。

その具体的な方法は、次回で詳しく紹介しましょう。