手が空くと席に座ってお客さんの話に耳を傾ける。おしゃべりの時間が何よりの楽しみだ

おかずが減った頃に来たお客さんからはお金をとらないのがはつゑさんのポリシーだ。この日も、「500円払おうとしたら、無理やりお金をポケットにねじこまれちゃったよ」と笑っている人がいた。

開店当初から一人500円という値段は変わらず、小学6年生までの子どもは無料。毎月7万円ほど赤字が出るが、8年前に亡くなった夫の遺族年金で補填している。「儲けるためにやってるわけじゃないから」と、はつゑさん。大変だろうからと、お米や野菜を届けてくれる人もいる。

 

やる気があれば、どんな苦労も我慢できる

起床は7時半頃。起きたら頬を掌で叩き、「がんばんぞー」と拳を握って気合を入れるのが日課だ。「みんなもやったほうがいいんじゃないの? やる気がなけりゃあ、なんにもできないよ」。

自宅の向かいにある食堂にやってくるのは8時。3時間ほどかけて、コロナ以前は50人分ほどの料理を作っていた。開店中はお茶を配ったり、お客さんとおしゃべりしたり、常に動き回っている。最後のお客さんを見送ると片づけをし、翌日の食材の調達にでかける。

「いまでも30キロの米、持ち上げて運んで、バイクで精米所に行ってるよ」。足腰が痛くなったりしないのかと聞くと、「どこも痛くないよ」と頼もしい。