劇作家ジェームズ・バリが1904年にロンドンで初上演し、大人の鑑賞に堪える児童劇として爆発的な人気をえた『ピーターパン』。45年にはブロードウェイミュージカルとして生まれ変わり、世界中で愛され続けている。日本での初演は81年。40周年を祝し、歴代主演女優が一堂に会して思いを語り合う(構成=篠藤ゆり 撮影=清水朝子)
永遠の少年ピーターパンを演じるのを「観たい」
榊原 ミュージカル『ピーターパン』の舞台に初めて立ったのは22歳の時です。舞台は初めてでしたし、歌とお芝居だけでなく、アクションやフライングなど、すべてを1ヵ月くらいの稽古で仕上げなくてはいけなくて。あのスピードによく乗れたなと思います。それから7年間、通算340公演ですから、頑張りましたね〜。
高畑 私は、舞台デビュー作になった山口百恵さんのトリビュートミュージカルで、郁恵さんの娘役で出演させていただいて。その時に、郁恵さんが「充希、絶対ピーターパンをやったほうがいいよ」と言ってくださいました。
自分がピーターパンを演じるのを想像したこともありませんでしたが、郁恵さんの鶴の一声で──。気づいたら6年も続けさせていただき、本当に郁恵さんのおかげで今があると思っています。
榊原 充希と稽古場や舞台で一緒に過ごしていて感じたのは、とにかく歌がうまいし、感受性が鋭くて表情が豊かということ。それに、素がピーターパンみたいにヤンチャなところがあるのよね。大人をちょっと茶化したり(笑)。
だから、充希が自由自在に舞台空間を飛び回って、永遠の少年ピーターパンを演じるのを「観たい」という気持ちになったんです。
高畑 実は、生まれて初めて観たミュージカルが『ピーターパン』なんです。4歳だったので、覚えていないんですけどね。ピーターパン役が決まり、両親に報告したら、そう教えてくれて。両親ともにミュージカル好きなので、幼い頃からよく劇場に連れて行ってもらっていました。