「初めて劇場で観劇した時、人のエネルギーがこんなにも伝わってくるものなんだと驚きました。」(吉柳さん)

「あなたはあなたらしく。違っていいんだよ」

榊原 私は、日本での上演が決まってから、勉強のためにスタッフと一緒に本場ブロードウェイに渡り、初めてミュージカル『ピーターパン』を観たの。観る前は、ディズニーアニメのイメージがあったので、なぜ子ども向けの物語がブロードウェイで受けているのか不思議で──。

でも、劇場に足を踏み入れたら、来ているのはほとんど大人で、しかも皆さんドレスアップしているんです。実際に観て、大人も楽しめる作品なんだと気がつきました。

吉柳 私は12歳の時に10代目ピーターパンを演じると決まるまで、ミュージカルがどういうものなのか、まったく知りませんでした。初めて劇場で観劇した時、人のエネルギーがこんなにも伝わってくるものなんだと驚きました。

そして、台本をいただいたら、覚えなければいけないセリフの量にびっくり。本を1冊丸暗記するような感覚でしたね。しかも、その時点で30年以上続いている作品でしたから、責任とプレッシャーをすごく感じました。

高畑 私は8代目なので、郁恵さんをはじめ先輩が7人もいて、ちょっと気楽に臨めた気がします。先輩方の舞台を拝見したことがありましたが、皆さんそれぞれ違うんです。「あなたはあなたらしく。違っていいんだよ」と背中を押されるように感じて。

吉柳 私はピーターパンが初めてのお仕事だったので、歴史に傷をつけてはいけない、このバトンを次につなげなければという気持ちが先走っていたのかもしれません。

高畑 咲良ちゃんは、すごくいろいろなことを考えて積み上げてきたんだね。私、そこまで考えていなかったかも。(笑)