〝若宮流〟AI使いこなし術
このアプリが世界中から注目され、政府に有識者としてお呼ばれしたり、国連・社会開発委員会で基調講演をしたり、園遊会にも呼んでいただいたり、今年開かれるG20の関連イベントにも登壇してスピーチするよう仰せつかったり……。人生が激変しました。
政府関連の講演会などで何を話しているかというと、私たち高齢者がより高次元な社会参加をできるように、デジタルの力を活用しましょう――と訴えています。
高度な社会参加とは、高齢者が地域活動の中心的な担い手として活躍したり、金融活動に積極的に参加したり、近代的な農業経営の担い手になることなどを想定しています。これまでのように、小学校の草むしりなどの限定的な社会参加から一歩踏み出すためには、最先端技術の力で高齢者をサポートすることが必要だと思います。そうすれば、高齢者は、これまでになく積極的に社会に参加できるようになるはずなのです。
といっても、高齢者が最先端技術の恩恵に浴するためには、高齢者自身に使いやすい機器でなくてはなりません。そして、84歳の私自身が使ってみて便利だと思った最先端技術は、きっと多くのお年寄りにも便利なはず。そうした先端技術をユーザー目線で探し当て、普及させれば、多くの高齢者が先端技術と仲良くなれると思い、活動しています。
ちなみに我が家はAIスピーカーをフル活用しています。テレビもリモコンもルンバもすべてAIスピーカーで使えるようにしていますし、スケジュールも同期していてAIスピーカーに聞けば、今日一日のスケジュールを教えてくれます。
最先端技術は、お年寄りの物忘れにも対応してくれます。「えーと。この間のフランス料理のデザートなんだっけ」なんてときに、「フレンチ、デザート、ふわふわ、甘い」なんてスマホで音声検索すると、「スフレ」と画面に出てきて、「ああ! それだ」と、正解にたどりつける。
私はまだ使ったことはないですが、人の顔を見て、名前を思い出すテクノロジーも開発されているそうです。AIはお年寄りの活動を広げるための強い味方です。
昨今は、様々な技術が開発されています。まだまだユーザーには使いにくい未完成な技術も多いですが、それよりなにより、誰も知らない技術がたくさんあることに驚きます。ですから、政府関係者やプログラマーの方々には、高齢者の活動を広げる可能性がある先端技術の存在を周知させることが必要だと訴えています。