白鵬「進退を懸けて臨む」

3月に横綱鶴竜が引退し、ただひとりの横綱白鵬は、この名古屋場所に「進退を懸けて臨む」と明言している。昨年十一月場所後の横綱審議委員会では、鶴竜とともに、「引退勧告」の次に重い「注意」を決議された白鵬。幕内優勝44回という歴代1位の記録を誇る平成の大横綱は、06年5月の昇進以来、15年ものあいだ横綱を張り続けてきた。しかし近年は《経年劣化》も否めず、この7月は、6場所連続休場明けの体で土俵に立つ。

年齢もすでに36歳。最近では膝のケガも慢性化して、まさに《土俵際》に立たされている感がある。しかし、ベテラン横綱の熟練の技や類稀な相撲センスは、大きな武器であることに変わりはない。照ノ富士の横綱昇進の壁となり、大横綱白鵬復活となるか、それとも――。白鵬の一挙手一投足から目が離せない。

照ノ富士をはじめ、貴景勝、朝乃山、正代の4大関がしのぎを削るはずの相撲界なのだが、朝乃山は協会のガイドライン違反が発覚し、五月場所12日目から休場となった。今場所はもちろん、処分を受けての長期休場は必至の様子だ。

正代も精彩を欠くなか、唯一気を吐いているのが、先場所で照ノ富士と優勝決定戦でまみえた貴景勝である。照ノ富士の横綱昇進にも白鵬の復活にも、重要なキーマンとなりそうなのが、この貴景勝の存在なのだ。175センチの小さな丸い体で、弾丸のようにぶつかる押し相撲を身上とし、暑い名古屋で土俵を盛り上げるひとりとなるだろう。

「大相撲の番付構成」