イラスト:小林マキ

心身のメンテナンスを人任せにしない

このAさんの例から、おひとりさまで年齢を重ねても自立して生活するためのヒントを探っていきましょう。

まず私が最も重要だと思うのが、「自分のことは自分で守る」セルフケアの意識です。自分の健康、飲んでいる薬、心身のメンテナンスを人まかせにしないで、自発的にその管理や維持に関わっていくことは、これからの超高齢社会でますます必要な姿勢になっていくでしょう。

食事や睡眠、運動、口腔ケアなどに気をつけ、定期的に健康診断を受けることはセルフケアの基本。また何か調子がおかしいと感じたとき、「ストレスが溜まっているのかな」「最近、食事が偏っていただろうか」と原因に気がつき、その時々で自分にふさわしい対策が取れることも大切なセルフケアです。自分の身体の健康を自分で守れているという自信は、心のバランスを保つことにもつながります。

次に大切なのは、Aさんが一時期悩んでいた、かかりつけ医とのコミュニケーション。技術や知名度にこだわるよりは、こちらの話をよく聞き、わかりやすい説明をしてくれる医師が安心です。受診したことのある医師や、近所の評判などから気さくな医師を見つけておきましょう。普段の診察や、健康診断の機会に心配なことを相談し、自分の健康状態や体質、病歴、生活環境などを把握してもらえれば、セルフケアの心強い支えになります。