入院には「身元保証人」が必要なことが多い

病気やケガで入院するときは、多くの病院で「身元保証人」が求められます。入院費の支払い保証、本人が判断できないときに医療行為を告知し同意を得る、緊急時の連絡や退院・転院・死亡したときの身柄の引き受けなどのためです。

Aさんには近くに住む妹さん家族がいますが、身内が遠くに住んでいたり、日頃の付き合いがなく頼みにくい場合もあるでしょう。私たちが支援する方のなかには、「あの親戚にだけは頼みたくない!」と拒否するケースも(笑)。女性の場合、気心の知れたお友だちや昔の同僚に保証人を頼む人も多いですね。

ただ金銭や生死に関わることですから、急に頼まれても相手が困るかもしれません。費用は自分で準備し、事前にきちんと事情を説明し、身元保証の内容も伝えておきましょう。

2018年の厚生労働省の通達により、保証人が見つからないことだけを理由に病院が入院を拒否する例はだいぶ少なくなりました。入院保証金を用意したり、クレジットカードで支払ったりすることで、保証人が不要になる場合も。大きな病院であれば、医療ソーシャルワーカーがいますので、医療費の支払いや援助の制度について相談も可能です。

入院が決まると、着替えや日用品などの準備が必要ですね。最近では日用品のほとんどが手頃な値段でレンタルできます。退院後に洗濯したり片付けたりする手間を考え、短期の入院ならすべてレンタルで揃えるという方法も。

入院中に不便や心細さを感じると、その後のお金の管理や、将来的に介護サービスを受けたり高齢者施設に入ったりするときの事務手続きを頼める人がほしいと思うかもしれません。そこで役立つのが、「任意代理契約(財産管理等委任契約)」です。この契約を結ぶことにより、特定の人に代理人になってもらい、財産の管理やそれに関する事務手続きを委任することができます。

おひとりさまの場合、退院後の生活や体調管理などが心配なことも多いでしょう。その場合も、医療ソーシャルワーカーを始め、看護師や栄養士といった専門職が相談に応じる仕組みがあります。