必要な情報をまとめ、伝わる工夫を
かかりつけ医は内科医が一般的ですが、骨粗鬆症の持病があれば整形外科医、目が悪ければ眼科医など、他の診療科でもかまいません。必要なときには、適切な専門医を紹介してくれるはずです。
医師だけでなく、病院の看護師や薬局の薬剤師といった医療関係者と信頼関係をつくっておくことも有効です。持病の薬の量を減らしたい、自分が気になった症状を相談したいなど、健康のアドバイスを受けることができるでしょう。
病気と並んで、おひとりさまにとって心配なのが自宅での事故です。Aさんのように、転倒して骨折などをしやすい場所。突然死の原因となる温度差が大きい場所。自宅のどこで事故が起こりやすいかを見極め、早めに対策をしておくことをおすすめします。
Aさんは転倒時にヘルパーに発見されたので、かかりつけ医の連絡先や持病の有無などの情報を救急隊員に伝えられる状態でした。しかし、おひとりさまが自宅で倒れたときに意識がなければ、そうした情報を伝える手段がありません。
各自治体では「緊急医療情報シート」といって、名前や血液型、持病、飲んでいる薬、かかりつけ医の連絡先、緊急連絡先などを記入できるシートを配布しています。書き込んで玄関や冷蔵庫の扉など目につくところに貼ったり、コピーして外出時にも持ち歩くといいと思います。
ただ残念なことに、緊急搬送時に、そのシートを発見してもらえないケースもあるようです。たとえば近所の親しい方やマンションの管理人さんに情報シートの存在を伝えておき、救急隊員が駆けつけたときに「玄関に置いてあるそうです」と知らせてもらうなどの工夫も必要かもしれません。
「もしも」のときに頼りになる人を見つけておくことも、おひとりさまには大切な準備です。