イラスト:小林マキ
生涯シングルや、配偶者を亡くした方だけでなく、肉親がいても、頼らず1人で暮らしたいと考える方もいるでしょう。「おひとりさまで大往生」を実現するには、元気なうちに多くの選択や決断を必要としますが、それは自分らしく生き、自分らしく逝くための大切なステップでもあります。元気なうちから少しずつ準備を始めるために、ケガや病気、認知症などのリスクに備えつつ、自宅で暮らし続けるコツを、看護のプロに伺いました(構成=山田真理 イラスト=小林マキ)

誰もが「おひとりさま」になる可能性が

私は1986年に在宅看護研究センターを設立し、訪問看護を軸に活動を続けてきました。訪問看護とは、看護師がお宅を訪問し、その方の病気や身体の状態に応じた看護を行うものです。病後の悪化防止や快復のための支援、主治医の指示のもとで病院と同じように必要な医療処置を行うほか、私が特に力を入れてきたのが「自力で思うように動けなくなっても、住み慣れた家で暮らしたい」「人生の最後を自宅で迎えたい」といった方たちの希望に沿った看護です。

さらに近年は、医療を受ける当事者の声をしっかりと受け止め、その願いをよりよい形で医療・介護の関係者や行政に伝えつなげていく専門職、「メッセンジャーナース」の育成にも力を入れています。

今は誰もが、おひとりさまで最期を迎える可能性のある時代。生涯シングルの方も、配偶者を亡くしてひとりになる方も増えています。子どもたちが近くに住んでいても、「迷惑をかけたくない」「できるだけ自分のことは自分で」とおっしゃる方も。

また、終末期の医療については、祖父母や親が病院で亡くなる姿に接するなかで、「ただ延命をするだけの治療は受けたくない」という考えを持つ人が増えてきたように感じます。

年齢を重ねれば、どうしても病気やケガのリスクは高まるものです。意志や判断力が弱まるかもしれません。それでもひとりで自宅に暮らし、できるだけ周囲に迷惑をかけず、自分の思うような最期を迎えることは可能です。私が訪問看護の現場で出会った方たちの例をご紹介しながら、皆さんが今からできる準備、心構え、知っておきたい情報をお伝えしましょう。