「娘と話していると、彼女らの間ではSDGsがスタンダードになっている感じはしますね。普段の会話に出てきますから。」(本上さん)

蟹江 ほー、おもしろい。しかも、SDGsのゴールより、さらに先の未来なんですね。

本上 娘たちが選んだテーマは、「海の豊かさを守る」。海の汚染や気候変動により漁獲量が減って、食べられなくなる魚の品種が増えているかもしれない。だから漁業も、農業のように卵から育てて出荷する畜養方法がメインになるだろう、といった内容をプレゼンしたそうです。知識としてはまだ浅いけれど、子どもの感性や発想はおもしろいなと思いました。

蟹江 SDGsは世界共通の「目標」と言っていますが、僕は「常識」にならないと地球も人間社会も先がないという危機感を覚えています。たとえば環境問題は今すぐ対策をしないと、後の世代ほど苦労することになる。子ども世代にとっては、持続可能な開発目標はずっと身近なことなんですよ。

本上 娘と話していると、彼女らの間ではSDGsがスタンダードになっている感じはしますね。普段の会話に出てきますから。

蟹江 見ていただければわかるように、17の目標って、実は何も難しいことは書かれていなくて、小学校で学ぶようなことばかりなんです。たとえば小学校では男子も女子も同じくらいの人数がいて、みんなで掃除をして、学級委員も男女一人ずつ。当番も、役割も平等でしょう。給食は残さず食べる。モノを大切に。ほかの人のことを考え、困っている友だちがいたら助けましょう。SDGsが目指しているのは結局そういうことなんです。

本上 たしかに、そうですね。

蟹江 それが大人になり、社会に出ると、いつのまにかできなくなっている。みんなが小学生のときの「常識」を取り戻せばいいだけなのです。