オーガニックコットンを着る理由
本上 SDGsに興味はあるけれど、何をしたらいいのかがわからない、という声も聞きます。
蟹江 出発点として、食べ物でも、服でも、家具でも、そのモノがどこから来て、どこに行くのかを考えてみるとよいかもしれません。たとえば、にんじん。どこでどんなふうに作られたものか、料理をするときにどの部分をどう使って、残った部分はゴミとしてどうなるのか、思いを巡らせてみるのです。
そうすると、誰から買うか、または自分で作るか、さらに捨てる部分を少なくするために皮や切れ端で出汁をとってみよう、といった自分にできることが見えてくると思います。
本上 『婦人公論』の読者世代はモノを大切にする方が多いですから、食材を使い切って廃棄物を減らすことは、そんなにハードルが高くないかもしれませんね。地球のため、人類の未来のためと壮大なことを考えたら何もできなくなってしまうと思うんです。まずは、普段の生活のなかで興味のあることを一つやってみるのが、とっかかりとしてはいいのかな、と。
蟹江 先ほどの話の続きで言うと、たとえば野菜をスーパーで買うのではなく、産地直送の宅配を利用してみるのも行動の一つになります。産直だと流通のプロセスが省かれるため、エネルギーの消費を抑えられますから。
本上 選択するときに、ちょっと考えてみることが大切なのですね。
蟹江 たとえばトイレットペーパーを購入するときは、国際的な森林管理認証を示す「FSCマーク」がついているか、見てみるのもいいでしょう。FSCマークは、適正に管理された森林の木材を使った製品という証明です。それを購入すれば、健全な森の育成に貢献することになりますし、その過程で不当な労働の搾取や人権侵害をしない企業を支援することにもつながります。
あるいは洋服なら、化学繊維ではなくオーガニックコットンのものを選ぶ。化学物質や水の使用量の排出を減らし、生産農家を応援することになるからです。