どうしても探せなかった〈洋書〉は差し替えに

岩崎 権利って、日本だけに限らないですよね。

細田 そうなんですよ。日本だけだったらなんとか通用するのかもしれないけど、世界中の権利をクリアにするって、けっこう大変で。たとえば本棚に並ぶ背表紙がありますよね。あれに対して許諾をとる必要はまったくないんですけど、それでもお願いするんです、すべての出版社に。

岩崎 えっ、じゃあ図書館のシーンとかどうするんですか。

細田 本当に、そうですよね(笑)。だけど僕は、基本的にすべて実在の本を使うようにしていて、きちんと許諾もとりたいんです。

清水 それはもう、人道的にって感じだ。

細田 そうです。まあ、ダメって断られることはまずないんですけど、作者がわからないとか、出版社が潰れてるとか、許諾のとりようがないことはあります。実は『竜とそばかすの姫』に出てくる本にも、どうしても探せなかった洋書が1冊だけあって。

清水 じゃあ、その本の名前は言えないね。(笑)

細田 頑張って出版社を探したんですけど、とうとう見つからなくて、最終的に違う本に差し替えることになっちゃいました。

岩崎 何回も何回も観る方がいらっしゃるでしょうしね。

清水 しかし、ストレスだね。

細田 そういう努力も、映画づくりのひとつなんですよ。

清水 まだ65%までしか進んでないんだ、と思ってすみません。

岩崎 そんな気持ちになってきた。