「ご飯などの炭水化物に含まれるデンプンは『多糖類』、砂糖は『二糖類』に分類され、どちらも糖質です。糖質は体内に入ると、脳の報酬系と呼ばれる回路を活性化し、快楽を感じさせます。長い間、白米を主食としてきた日本人の脳は、いわば糖質中毒状態。糖質制限が難しいのは、そうした食生活に起因しているのです」
市川先生が勧めるのは、ほどほどに糖質を摂りながら徐々に減らしていく「ゆる糖質制限」です。
「食事の回数はそのままで、ご飯やパン、麺類など炭水化物の量を少しずつ減らしていくのがコツ。カロリーを気にする人も多いですが、糖質に加えカロリーまで制限すると、エネルギー不足で不調を招くことになり、長続きしません。まずは糖質カットだけを意識して取り組んでみましょう。それでも十分効果が期待できます」
食物繊維不足に気をつけて
実践するうえで、いくつか気をつけるポイントがあるそう。
「ご飯などの炭水化物には、食物繊維も含まれるため、糖質を控えると便秘などが起きやすくなります。意識して、食物繊維を摂るよう心がけましょう」
また、「水分も多めに摂ることを心がけて」と市川先生。
「インスリンには塩分を体内に留めておく作用があります。炭水化物を控えてインスリンの分泌量が減少すると、塩分が排出されやすくなり、それとともに水分の排出も促され、だるさなどの不調を招くことがあるのです」
水分排出が促進されることで、いきなり体重が2~3キロ落ちることも。ただし、蓄積された脂肪が燃焼するようになるには、1ヵ月ぐらい必要といいます。
「クリニックの患者さんの場合、1ヵ月2~3キロ減のペースで、その後も糖質制限を続けることで標準体重まで落とすのが一般的です。体重減だけでなく、血糖値の急激な上昇による食後のだるさや眠気、疲れやすさがなくなるなど、体調の改善も期待できます」
次から、ゆる糖質制限の具体的な方法を紹介しましょう。