鏡に映るやつれはてた自分の顔を見たとき

明るく元気な妻、おしゃれで社交的な、息子たちの自慢のお母さんが、すっかり自信をなくしていた。

「鏡に映るやつれはてた自分の顔を見たとき、もうだめだと思いました。たるんだ頬にがっくり。こんなんじゃ生きていけないって」

もともと美容やアンチエイジングに努力は惜しまなかったが、整形手術までは考えたことはない。だが、絶望の淵に落ちたとき、人は思いがけない決断をするものだ。ミサトさんの場合は、「そうだ!フェイスリフト手術を受けよう!」というものだった。

「病室で美容外科の病院を探し、退院したその足でカウンセリングが受けられるよう予約しました」

退院の日、迎えに来た夫に「このまま美容外科の病院に行くからね」と告げると、夫は、ポカンと口を開けたまま、「わ、わかった」と答えた。

「その顔がおかしくて笑ったら、なんだか吹っ切れました。自分では優柔不断なほうだと思っていたけど、切羽詰まるとけっこう大胆になれるんですね」

自分の行動力に自分がいちばん驚いていた。費用はかさんだが、フェイスリフト施術は満足のいくものだった。

大病したことを知らない知人に久しぶりに会って、「相変わらず元気そうね。それになんだか若返ったわね」と言われた、とほほ笑むミサトさん。気持ちが上がることで、からだのほうも元気になっていった。今も朗らかなお母さんでいられるのは、あの決断をしたからだと思うのだ。

 


《ルポ》がん、脳卒中、コロナ感染……生きがいに出合って病からV字回復
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【2】新型コロナの隔離療養で考えた残りの人生。夫から離れて二拠点生活に
【3】くも膜下出血で倒れ自信喪失。美容整形で気持ちもからだも上向きに
【4】50代で半身まひ。夫の全面サポートを受け仕事にも復帰し、一歩ずつ前へ