鏡に映るやつれはてた自分の顔を見たとき
明るく元気な妻、おしゃれで社交的な、息子たちの自慢のお母さんが、すっかり自信をなくしていた。
「鏡に映るやつれはてた自分の顔を見たとき、もうだめだと思いました。たるんだ頬にがっくり。こんなんじゃ生きていけないって」
もともと美容やアンチエイジングに努力は惜しまなかったが、整形手術までは考えたことはない。だが、絶望の淵に落ちたとき、人は思いがけない決断をするものだ。ミサトさんの場合は、「そうだ!フェイスリフト手術を受けよう!」というものだった。
「病室で美容外科の病院を探し、退院したその足でカウンセリングが受けられるよう予約しました」
退院の日、迎えに来た夫に「このまま美容外科の病院に行くからね」と告げると、夫は、ポカンと口を開けたまま、「わ、わかった」と答えた。
「その顔がおかしくて笑ったら、なんだか吹っ切れました。自分では優柔不断なほうだと思っていたけど、切羽詰まるとけっこう大胆になれるんですね」
自分の行動力に自分がいちばん驚いていた。費用はかさんだが、フェイスリフト施術は満足のいくものだった。
大病したことを知らない知人に久しぶりに会って、「相変わらず元気そうね。それになんだか若返ったわね」と言われた、とほほ笑むミサトさん。気持ちが上がることで、からだのほうも元気になっていった。今も朗らかなお母さんでいられるのは、あの決断をしたからだと思うのだ。